CVRを20%上げるweb接客を設計するには?①:webサイトのUIとweb接客の関係を知る

web接客ツール。使ってみたいけど、具体的な設計方法や使い方がわからない」。そんな悩みをお持ちではありませんか? 本記事では、そのような疑問や不安を根本から丁寧に解消してまいります。

f-tra運用チームでは、これまで数百のwebサイトでweb接客施策を実施し、効果的なweb接客についての知見を深めてきました。これをもとに、今回は「CVRを20%上げるweb接客を設計するには?」シリーズと題して、web接客の運用方法の骨格をご紹介します!

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<「CVRを20%上げるweb接客を設計するには?」シリーズ目次>

第1回:webサイトのUIとweb接客の関係
なぜweb接客の設計は難しいのか?
UI設計とweb接客ツールの違い・関係をきちんと理解しよう
webサイトに不満足な層を特定しよう―ユーザーセグメントを適切に切り分ける
セグメントしたユーザーに合わせてアプローチを変えよう

(近日更新予定)
第2回:GAを用いた、web接客の分析に役立つユーザーの分析方法
第3回:web接客を考える際の、ユーザー課題とクリエイティブ要素の設計方法
第4回:ユーザーセグメントに合わせた、最適なタイミングでのweb接客事例
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① なぜweb接客の設計は難しいのか?

web接客ツールとは、「webサイトのUIだけでは拾いきれない個別のユーザーの要望」を拾い上げるために開発された技術です。こうした要望は当然、多岐に渡るものです。そのため、web接客の設計にあたって考慮すべきことも多岐に渡ります。「現在のwebサイトのユーザーの分析」特に「今のwebサイトでは反応してくれないユーザーの不満の想定」、「一つ一つの不満にこたえるためのアプローチ方法」など。多くの方がweb接客ツールの設計に苦労するのはこのためです。

そこで、web接客ツールの設計のためには、まず「webサイトのUIで考えるべきこと」と「web接客ですべきこと」の違いを理解する必要があります。本記事ではこれを明確にし、続いて具体的な運用方法について述べていきます。

 

② UI設計とweb接客ツールの違い・関係をきちんと理解しよう

webサイトのUI設計の基本となる発想は、「いかにユーザーのニーズを正しく把握し、それに応え得るUIを施していくか」という点にあります。

ここで重要なのは、「すべてのユーザーではなく特定のユーザー層をターゲットとし、その層を想定した導線を設計すること」です。サイトUIにおいてあらゆるユーザーのニーズに応えようとすると、どうしても情報が過剰となってしまい、どのユーザーにとっても使いにくいどっちつかずのwebサイトとなってしまうためです。

webサイトのUIにおいても、近年ではUIパーツの大型化(Big UI)、低密度(Low Density)、その代わりにややページを長くする(Long Page)傾向が強くなっています。つまり、ファーストビューでメッセージを絞り込むタイプののUIがメインとなりつつあります。

加えて、現代のようなスマートフォン対応が必須の時代にはページの表示速度(軽さ)がより重視されるため、その観点からも「情報を減らし、対象を絞り込む」発想はますます避けられないものとなってきました。

しかし、こうした状況と相反する事実もまたあります。すなわち、現在ではユーザーがサイトを知るきっかけは多様化しており、多くのチャネルからwebサイトへの流入が発生しているため、ユーザーニーズはますます複雑になっているのです。

つまり、ユーザー一人ひとりの幅広いニーズに応えることがより難しくなる反面、サイトUIはシンプル化が進んでいるという、板挟みの状況が存在しています。このギャップを埋めて問題を解決する技術こそ、web接客技術なのです。(下図参照)

 

③ webサイトに不満足な層を特定しよう―ユーザーセグメントを適切に切り分ける

前項で述べたとおり、webサイトのUIに必要なのは「ターゲットのユーザー層に合わせて絞り込むこと」です。選び抜いた「もっとも伝えたい情報」をファーストビューの「もっともよい位置」に据え、獲得したいユーザーに分かりやすいメッセージを発するべきです。

そのうえで重要なことは、現在のUIで応えられているユーザーグループと、そうでないユーザーグループを適切に把握することです。離脱が発生するのならば、何の情報不足がその原因となっているのかを考え、web接客ツール等で応えていくということです。

まずは、自社webサイトのユーザーをいくつかのグループに分類し、うまく反応してくれていない層の把握から始めましょう。

webサイトに来ているユーザーニーズの分類方法例:
1.ユーザーの流入元毎の行動傾向を分析する
2.ユーザーの訪問回数から行動傾向を分析する
3.ユーザーのランディングページから行動傾向を分析する

代表的には、訪問回数(初めてwebサイトに訪れたのか、何度か来ているのか)と流入元(自力で検索行動をとり来訪しているのか、たまたま何かのバナー等を見て流入しているのか)により、ユーザー傾向は異なる傾向があります。そして多くの場合、はっきりとCVRの良いセグメント(=既存のUIで応えられているユーザーセグメント)と悪いセグメント(=既存UIでは応えられておらず、情報ニーズのアンマッチが起きているセグメント)が傾向として表れるものです。

これで、どのような層に対策を施すべきかということがはっきりとします。

例えば、CVをあまりしていないセグメントの動きをみると、「ブログ記事にランディングしており、その記事を熟読している」など特徴的な動きをしているものです。ユーザーセグメントごとの行動特性をよく観察すると、何をwebサイトに期待しているのかも判明します。

ユーザーセグメントの具体的分析手法については第2回(近日公開予定)にて詳しく紹介します。

 

④ セグメントしたユーザーに合わせてアプローチを変えよう

セグメントごとのユーザー傾向を把握した後は、そのユーザーがどのタイミングでなぜ離脱するのか、どのような心理が働いているのかを適切に把握し、アプローチを変えましょう。

実店舗での買い物で例えてみましょう。心理の変化に注意しながら、ウィンドウショッピングをしているときのことを考えてみてください。


“休日、ショッピングモールでなんとなく洋服屋さんに立ち寄る。買う気はないので、店員さんには声をかけてほしくない(タイミング①)。店の中をしばらく見る。小物コーナーに来た。そういえば、ちょうど財布を買い替えようと思っていた。少し見る。最近はどんなものが流行っているんだろう(タイミング②)。この商品、デザインはいいが、何かちょっと違うな。ここに出ている商品が全てなのだろうか(タイミング③)。まあいいか、とりあえず次の店舗へ行こう。”


上記の例だけでも、このセグメントのユーザーの心理は大きく分けて3段階に変化しています。

タイミング①:邪魔をしてほしくない。自分で探すので、声をかけられるとうっとうしい。
タイミング②:検索のための情報がほしい。不足情報を補ってほしい。
タイミング③:商品をもう少し具体的に見たい。

タイミング①では、「そもそも情報提供すべきではない」ということに留意してください。タイミング②は「漠然と『ほしい』気分ではあるが、何がほしいのか具体化していない」という状態です。そして③では具体的な商品検討に入っており、適切な情報提供ができていれば購入に至った可能性があるのです。

このような心理の変化は、webサイトにおいても同様に発生します。

すなわち、ユーザーには「望んでいない情報をプッシュしてほしくない、自分で選び決定したいという欲求」と、検討が具体化するにつれ「適切におススメや情報提供をしてほしいという欲求」の二つがともに存在しており、段階によってそれが移り変わるのです。これらの心理変化を見極めたうえで、最適なアプローチをするよう心掛けたweb接客を行う必要があります。

一般的に、ロイヤリティが高いセグメントのユーザーはwebサイトを信頼しているため、プッシュ型の提案をより受け入れやすくなると考えられます。一方で、まだwebサイトとの関係が構築できていないセグメントにおいては、プッシュ型の情報提供(例えばランディング直後に画面中央をジャックし、会員登録をお勧めするようなUI)が「過剰な接客」ととらえられてしまい、かえって離脱率を上昇させることも珍しくありません。

これらを踏まえ、ユーザーとの関係をweb接客に応用するならば、下図のような考えが必要になります。

このように、同じセグメントのユーザーでもタイミングによって心理が異なります。それぞれに対してどうアプローチすれば心地よいのか、webサイトの導線やユーザーの心理を定量的・定性的側面から複眼的に分析し、web接客を慎重に設計することが求められます。この点については、第4回にて詳細にご紹介します。

 

まとめ

ここまで述べてきたように、
①まずwebサイトのUIは、ターゲット層の絞り込みと全体最適を目指すべきこと
②その上で、適切にユーザーセグメント毎の行動傾向を把握し、特に既存のUIでは要望に応えられていないユーザーを適切に見極めたうえで課題や要因を分析すること
③その要因に合わせweb接客を設計すること、がとても大切です。

また、マーケティング施策である以上、一つのUIを構築すればそれで全てが完了するということではなく、絶えず訴求内容を入れ替えながらユーザーの反応をチェックし、適切にPDCAを展開していかなければなりません。(下図)


基本的な考え方は上記の通りとなりますが、実際の分析方法等についてはwebサイトの状況等によっても変化します。
そこで次回以降の記事ではより実践的に、GA等を用いて行った分析手法や、実際に使用されたweb接客内容などを可能な限りご紹介していきます。

<次回以降の内容>
※近日更新予定
第2回:GAを用いた、web接客に役立つユーザーの分析方法
第3回:web接客を考える際の、ユーザー課題とクリエイティブの設計方法
第4回:ユーザーセグメントに合わせた、最適なタイミングでのweb接客事例

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