先日公開の記事で、かご落ち(カート放棄率)に関する調査結果をまとめました。これらをもとに、具体的にかご落ち率を改善するためにフォーム側でできる改善22つ+その他施策4つをまとめてみました。
ECサイトのご担当の方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
※かご落ち率の調査結果のまとめはこちらです。以下本文中で登場する(リンクのない)調査結果については下記を参照いただければ幸いです。
かご落ち率(カート放棄率)の世界平均と、離脱の理由アンケート結果【統計】
https://f-tra.jp/blog/overseas/5680
かご落ちを防止するためのチェックリスト26
- 金額格表示に関するチェックポイント
01. 送料無料をアピールする
02. なるべく早いタイミングで送料を表示
03. 税金や各種手数料も忘れずに
04. 通貨を最適化する - クーポン、ディスカウントについて
05. クーポンコードの存在を表示しない
06. ディスカウント後の価格を表示しておく - フォーム入力をシンプルにするためのチェックポイント
07. 1ページか複数ページの決済プロセスをテストする
08. 会員登録を避ける
09. 余計な入力項目や重複を排除する
10. 表示速度を最適化する - 安心感を醸成するためのチェックポイント
11. セキュリティロゴを表示する
12. セキュリティ、プライバシーの安全性を訴求
13. 返品ポリシーを表示する
14. 販売者情報を明示する - ユーザーに情報を探させない
15. 買い物情報
16. よくある質問に答えておく
17. その他、ユーザーがどこに離脱しているかを確かめる - 利便性向上やサービスの訴求
18. カートの修正を容易にする
19. 支払い方法を多様に提示
20. カスタマーサポートの存在をアピール - 商品訴求
21. 商品画像は大きく表示
22. お客様の声を表示 - +α:今は買わない人に対する対策
23. 数量限定
24. ウィッシュリスト機能を用意する
25. リターゲティング広告
26. Eメールマーケティング
金額表示に関するチェックポイント
かご落ちの理由を尋ねた調査結果では、「予期していなかったコスト」「もっと安いものを他の場所で見つけた」「全体的な費用が高かった」「注文が送料無料のための購入額に満たなかった」など、商品価格以外のコストに関する理由が多く挙がっています。とくに送料については店頭で購入すれば発生することのないコストであるために不満が生まれやすい傾向があるのかと思います。
01. 送料無料をアピールする
A Deloitte studyによると、69%のユーザーが送料無料の店で買い物をする傾向があるようです。送料無料、あるいは合計金額などの条件で送料無料になるというような場合には、ユーザーの購買意欲を促進できる可能性があります。積極的にその旨を明示しましょう。
02. なるべく早いタイミングで送料を表示
ユーザーがショッピングカートを放棄する理由の1位は「予期していなかったコストが提示された」というもので回答者の56%が該当していました。
決済フローを進める中で、できるだけ早い段階でユーザーが決済の合計金額をイメージできていれば、このような認識のズレや違和感を起こすことはありません。
03. 税金や各種手数料も忘れずに
送料だけでなく、消費税、各種手数料なども同様に、できるだけ早い段階で合算した購入合計金額として表示するようにしましょう。
04. 通貨を最適化する
海外サイトで買い物をする場合でも、ドルではなく円に換算した価格表示になっていると購入のハードルがうんと下がります。
13%のユーザーも、外国の通貨で料金が表示されたことによってカートを放棄したと解答しています。
当たり前のことですが、海外向けにECサイトを展開されている場合、(もしくはその逆の場合も)必ず現地の通貨で価格を表示するようにしましょう。
クーポン、ディスカウントについて
05. クーポンコードの存在を表示しない
調査では、27%の顧客が割引クーポンを求めてカートを放棄しています。
決済フローでクーポンの存在に気づいたユーザーは、利用できるクーポンがないかを探すためにフォームから離脱してしまう可能性があります。
クーポンやディスカウント等の訴求は「買い物中」にのみ行い、決済フローに入ったユーザーにはフォーム入力に集中してもらえるように設計しましょう。
06. ディスカウント後の価格を表示しておく
割引がある場合、ディスカウント後の価格と、合計金額からいくら引かれているのかを表示するようにしましょう。
「お得感」をユーザーにアピールすることにもつながります。こちらも送料等と同様に、決済フローの早い時点で表示すると良いでしょう。
フォーム入力をシンプルにするためのチェックポイント
フォームが使いにくいことはかご落ちの理由になり得ます。
調査結果でも「ナビゲーションが複雑」「購入手続きが面倒」「購入プロセスが複雑すぎる」などのフォームのユーザビリティに関する点がかご落ちの理由として挙げられていました。
あらゆる面からフォームを使いやすくすることはEFOの基本中の基本ですが、ここではカゴ落ちの観点で特に気をつけたい4点を挙げておきます。
07. 1ページか複数ページの決済プロセスをテストする
購入フォームは入力する情報が多いため、決済プロセスが複数ページに展開されていることがほとんどです。
ページが遷移が多いとフォーム入力を複雑に感じるユーザーもいる一方で、入力項目がすべて1ページに集まっていると、必要以上に項目数を多く見せてしまう可能性もあります。
こればかりは正解がなく、両方の場合をABテストで試すことをおすすめします。
08. 会員登録を避ける
調査では、23%のユーザーが会員登録しなければならないことを理由にカートを放棄しています。
また、会員登録のフローを削除したことでは45%もの改善効果があったという事例もあるようです。
会員登録なしでも購入を完了できるような仕組みにフォームを改修することは、カゴ落ち率にかなりのインパクトを与えそうです。
09. 余計な入力項目や重複を排除する
21%のユーザーが、購入プロセスが長すぎることを理由に購入フォームから離脱しています。
ただでさえ入力項目が多くなりがちな購入フォームでは、ユーザーに入力の負担を減らすために、極力項目数を少なくするように努力したいところ。
とくにありがちなのは、配送先と請求先の住所入力。ここで別々の住所を入力することは稀なので、くれぐれも2回同じ住所を入力させないようには配慮しておきたいものです。
またどうしても入力な必要な項目にはその情報が必要な理由を表示するなど、ユーザーの心理的負担を軽減するような工夫が必要です。
10. 表示速度を最適化する
調査結果では、15%のユーザーはセッションがタイムアウトしたことを理由にカートから離脱しています。またページの読み込み時間が1秒増えるだけで、注文の成約率が7%減少するという調査結果もあるようです。
フォームページの表示速度を改善することが、カゴ落ち率に好影響を与えることは間違いなさそうです。
安心感を醸成するためのチェックポイント
11. セキュリティロゴを表示する
顧客の17%がセキュリティ上の懸念から購入しないことを選択しています。またGet Elastic社が行ったテストでは、セキュリティロゴの表示でサイトの売上が4~6%上昇したとのことです。
安全性をアピールするためには、セキュリティロゴを表示することが最もてっとり早く効果的な方法です。
12. セキュリティ、プライバシーの安全性を訴求
ロゴの表示のほかにも、個人情報取り扱いへの取り組みなどのポリシーを表示したり、決済情報の入力欄を視覚的に強化することが大切です。
海外EFO記事:89%が間違い!クレジットカード入力欄の視覚的強化
https://f-tra.jp/blog/column/5100
13. 返品ポリシーを表示する
購入フォームの送信時に気がかりなもう一つの点は、キャンセル料の有無や返品の不可などの返品ポリシーです。
商材にもよりますが、オンラインショッピングでは実際に商品を手にとって確認できないため、それが「イメージと違ったらどうしよう」という懸念材料になり、購入にブレーキをかけてしまう要因のひとつになりえるでしょう。
返品についてはっきり記載されていることで、ユーザーは安心して決済を続けることができます。
14. 販売者情報を明示する
22%のユーザーは、連絡先情報を見つけられなかったことで、ウェブサイトを信頼できず、それがカートから離脱するに至ったと解答しています。
販売者情報は購入フローのどのページにもはっきり明記しておくと良いでしょう。
ユーザーに情報を探させない
購入フォームの長い決済フローの途中で、ユーザーの頭のなかでさまざまな疑問が生まれるのは自然なことです。
フォーム内にユーザーに求められそうな情報を先回りして用意し、それらに素早く簡単にアクセスできるようにすることで、単に親切である以外にも、ユーザーが情報を探しにいく(=決済フォームからの離脱)行動を防ぐことにもつながります。
15. 買い物情報
これから購入しようとしている商品の詳細をあらためて確認したくなるという状況は容易に想像できます。
カート内にも写真を含めた概要を表示しておくほか、希望があれば詳細ページを再確認できるようリンクをつけておくと親切です。
16. よくある質問に答えておく
価格保証、返金、商品が届くまでの期間など、ユーザーが疑問に感じるであろう点は簡単なFAQや補足として画面内に容易してしまうとベストです。
17. その他、ユーザーがどこに離脱しているかを確かめる
そのほかにも、ユーザーが探してる情報はどこにあるかわかりません。
決済フローからユーザーがどんなコンテンツを探しに行くかをアクセス解析で確認するとさらにベストです。
利便性向上やサービスの訴求
その他、サービスの利便性を向上することで結果としてかご落ち防止につながります。
18. カートの修正を容易にする
カートに入れた時点でユーザーは購入を100%決心しているわけではなく、複数商品を比較したり、ウォッチリスト的に利用しているユーザーも少なくないでしょう。
カートの数量の変更や商品の削除はスムーズに行えるようにしておくことが、ユーザーが最終的に購入を決めるまでのプロセスを邪魔しません。
19. 支払い方法を多様に提示
24%のユーザーはより多くの支払いオプションを求めてカートから離脱しています。
支払い方法は可能な限り多様なものを用意できたほうが、購入機会を失いません。
FreshGigsではアメリカンエクスプレスでの支払いオプションを有効にしただけで、購入が15%も増加したという事例もあるようです。
20. カスタマーサポートの存在をアピール
可能であれば、フリーダイヤルの電話番号やチャット用のボックスなどを提供しましょう。
これらがあることはユーザーに信頼を与え、購入に関する懸念を緩和してくれます。
商品訴求
26%のユーザーは、商品をいったんはカートにいれたものの心変わりのために購入を取りやめています。
商品そのものに対する魅力をカートに入れた後にも持ち続けてもらうために工夫が必要です。
21. 商品画像は大きく表示
商品の魅力を最も効率的かつ魅力的に訴求できるのは画像です。
フォーム入力を邪魔しない程度に写真を大きく用意できるとユーザーが熱を失いにくくなるかもしれません。
22. お客様の声を表示
90%の顧客はレビューに影響されているという調査結果が示すように、「お客様の声」はユーザーの購買心理に大きな影響を与えます。
フォームを邪魔しないことは大前提ですが、これらはかご落ちを食い止める力を持っているでしょう。
+α:今は買わない人に対する対策
フォーム改善ではないものの、かご落ち防止の文脈のなかでは大切な4つの施策を、簡単ではありますが加えて紹介したいと思います。
23. 数量限定
57%が「まだ購入する準備ができていない」56%が「後ほど購入するために保存しておきたい」と解答しているように、カートに訪れているユーザーは必ずしも今購入するつもりではないことが多いようです。
そんなユーザーを購買に踏み切らせるためには「数量限定」などのオファーが有効です。
その他「タイムセール」「在庫僅か」「今だけ送料無料」などが同様の訴求効果を持つと考えられます。
24. ウィッシュリスト機能を用意する
今はまだ購入しないユーザーの存在を見越して、ウィッシュリスト機能を用意すると良いでしょう。
25. リターゲティング広告
離脱は終わりでなく始まりです。リターゲティング広告で商品の魅力を訴求できれば、一度は去ったユーザーも再び検討を始めてくれるかもしれません。
26. Eメールマーケティング
同様に、メールによるキャンペーンも、ユーザーが商品を思い起こすきっかけになるでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか。本日はかご落ち(カート放棄)を食い止めるためのフォーム改善施策をご紹介しました。
ぜひこれらの施策を活用して購入フォームの改善を進めてみてください。
参考記事:
Stopping Shopping Cart Abandonment | UX Booth
Shopping Cart Abandonment: Why Online Retailers Are Losing 67.45% of Sales and What to Do About It
Online Marketing – Reducing Shopping Cart Abandonment Rates – WebStrategies, Inc.