これまで、フォームの最適化における3つのステップと、f-traEFOのレポート画面についてお伝えしました。今回は、実際の事例を元に、フォーム改善の具体例をご紹介します。
EFO実施前
今回事例として取り上げるのは、不動産ポータルサイトを運営されている事業者様。
サイトオープン後、順調にサイトへの訪問数は伸びていたものの、「買取査定」のフォームまで到達したユーザーのフォーム完了率が低く、コンバージョン数が伸び悩むという課題をお持ちでいらっしゃいました。
EFO実施の流れ-(1)定量指標の計測
フォームのリニューアルにあたり、まずはフォーム送信の流れの中での歩留まり率を計測。その結果、下記が明らかになりました。
フォームを訪れたユーザーのうち、75%が入力を開始せずに離脱、入力を開始したユーザーのうち、50%が入力を完了せずに離脱。2ページ目に12%しか到達していなかった。
EFO実施の流れ-(2)原因の分析
把握した定量指標をもとに、さらに詳しくデータを調査。すると、下記のことが分かりました。
・未入力離脱ユーザーの平均滞在時間は2秒台。離脱を短時間で判断している
・サイト自体から離脱するのではなく、サイト内の別の画面に遷移していることが多い
・入力途中ユーザーについては、入力項目のうち3つの項目において、特に離脱率/エラー率が高い
EFO実施の流れ-(3)改善策の検討・実施
上記で洗い出した項目について、ユーザー視点で原因と考えられる点を解決するための文言や入力のユーザビリティを検討。事業者様とディスカッションしながら下記の通り、リニューアル案を作成、実施しました。
【未入力離脱を防ぐための2施策】
1)他ページへのリンクバナーの削除
従来のフォームでは、サイト全体と共通のレイアウトを利用していたために、ヘッダーやサイドナビにサイト内の他のページへのリンクバナーが掲載されていました。ユーザーをフォーム入力に集中させるため、フォーム画面にては独自のレイアウトを使用し、他ページへのリンクバナーを削除しました。
不要なリンクバナーを削除、そのぶんフォームの入力欄を拡大
2)画面の流れの整理
もともとこのフォームは、1画面目にて入力した内容をもとに、2画面で表示項目を切り替える形式となっていました。この形式は保持しつつ、1画面目と2画面目で表示する項目を整理しました。
1画面目
「マンション情報」の中で、必須項目のみ8件を配置
→ユーザーのフォーム送信の対象となる項目を最初に配置することで、入力開始を促す狙い
2画面目
ユーザーが入力をためらいがちなメールアドレスや電話番号などの個人情報を中心に28件を配置
→既に入力途中のため、個人情報入力のハードルが下がる
1画面目と2画面目の入力項目の配置を整理。特にユーザーがためらいがちな個人情報入力を後半に持ってくることで、「ここまで入力したんだから最後まで入力するか」という気持ちにさせる工夫を行った。
【入力途中離脱を防ぐための3施策】
1)必須項目を厳選
分析結果に基づいた議論を経て、もっともエラー率の高かったメールアドレスは非必須とすることに。必須項目を厳選することはコンバージョンデータの質の低下にもつながるため、判断が難しいところですが、各項目ごとのエラー率/離脱率を抑えることで、費用対効果を踏まえた判断をすることができました。
2)項目の配置を整理
必須項目と任意項目を分け、必須項目入力後には、任意項目を入力しなくても送信ボタンを押下できることが明らかになるようにしました。
3)ガイドナビゲーションによる誘導
ガイドナビゲーションを表示。「残り必須項目が何件か」、などを表示し、ユーザーの入力開始を促しました。
EFO実施結果
フォームのリニューアルを実施後、フォーム完了率は約3倍増。コンバージョン数が3倍になりました。
ページ間の離脱を減らすために、各ページでの離脱要因を丁寧に探り、フォームの変更まで実施したことで、フォーム完了率向上につながった。
これによりCPAは1/3となり、販促も強気な展開が可能に。ポータルサイト自体、全国へと展開され、順調に成長を続けていらっしゃいます。
今回はf-traEFOを導入いただいたお客様の事例をご紹介いたしました。離脱までの時間、離脱直前に触っていた項目が何だったかに着目、仮説を立てて、フォーム改修を行うことで、フォーム完了率向上につながった代表例です。離脱までの時間、離脱直前に触っていた項目が何だったかについては、f-traEFOでも計測できる指標です。是非、ご利用をご検討ください。